稲刈りの季節はぜひ島根県大田市温泉津町西田地区へ!無形の民俗文化財「ヨズクハデ」の景色が見れるよ!

島根県大田市温泉津町西田 無形の民俗文化財「ヨズクハデ」取材

島根県大田市温泉津町西田地区で稲刈りの時期に見ることの出来る「ヨズクハデ」。
JR湯里駅近くの国道9号の交差点から県道201号を南へ約4キロにあります。

今回その様子を取材することが出来ました!ご紹介していきます!!

「ヨズクハデ」とは

お米を作る際、稲刈りをした後、乾燥させるために天日干しをします。
これを「はで干し」と言います。

<全国的な「はで干し」のスタイル>一般的なはで干し
横に長く洗濯物を干す物干しのように竹などを使い干場を作り、その上に稲わらを干していく。
均等に日干しできる一方で、たくさんの面積が必要。風が強い日など、倒れやすいこともある。

<「ヨズクハデ」のスタイル>島根県大田市温泉津町西田 無形の民俗文化財「ヨズクハデ」
縦に、干していく方法になります。
6mのヒノキの丸太4本を四角錐型に組んだ形を基本構造とし、高さ・幅ともに約5mに調整し、下の方から稲束を順序よく架けていき出来上がります。
温泉津町西田地区では矢瀧城あたりから吹き降ろす風が強く、一般的なはでにかけて干す方法の場合倒れることが多くこの「ヨズクハデ」方式の干し方が広まりました。
四角錐の形は四方から風が当たっても倒れにくいと言われています。狭い面積で材料も普通のハデの三分の一ですみ、ヨズクハデ1基で約米5俵分の稲を架けることができ、多くの稲束を干せます。

ヨズクハデの「ヨズク」は、方言でフクロウを指します。はでを組み上げた姿が、フクロウが羽根を休める姿に似ていることから名付けられたそうです。

また、一説には神代の昔、海上を守る上津錦津美命(うわづわたつみのみこと)と上筒男命(うわづつおのみこと)の2柱の海神が稲の干し方に苦心する農民を見て、漁師の漁網の干し方を伝えられたことが起源とされています。
現在はこの地区にある水上神社にまつられていて田植えや稲刈りの際にはこの神社の宮司が神事を行います。

どのような流れで無形民俗文化財に指定されたのか

島根県大田市温泉津町西田 無形の民俗文化財「ヨズクハデ」

平成21年にその製作技術が国の重要無形文化財に指定されました。現在、「西田ヨズクハデ保存会」が中心となり、後世へ技術を伝え、その景観の保全に取り組んでいます。
昔は100基以上あったと言われています。2024年現在は、4個の農家のみとのことでした。

島根県大田市温泉津町西田 無形の民俗文化財「ヨズクハデ」

ヨズクハデ作りスタート!

島根県大田市温泉津町西田 無形の民俗文化財「ヨズクハデ」

西田ヨズクハデ保存会や「酒仙蔵人・五郎之会」の会員さん、約50人が集まり、ワイワイ賑やかに稲刈りとヨズクハデ作りが始まりました。

島根県大田市温泉津町西田 無形の民俗文化財「ヨズクハデ」

猛暑で出来栄えが気になるところですが今年も例年通りということです。
会員は家族連れで参加するところも多く、赤ちゃんを抱っこしたお母さんがお父さんをテント下から見守る姿も見られました。

島根県大田市温泉津町西田 無形の民俗文化財「ヨズクハデ」

イイデを作る様子

隣のテントでは、藁を材料に稲をまとめる「イイデ」を作る保存会の作業に挑戦する「五郎の会」の若い会員さんもいて、和気あいあいとした雰囲気をみんなで楽しんでおられました。

島根県大田市温泉津町西田 無形の民俗文化財「ヨズクハデ」

出来上がった「イイデ」

会員さん同士はみんな顔見知りで毎年の再会も楽しみということです。
この日刈り取られた稲は、背丈が人の胸の高さほどになる幻の酒米「亀の尾」という品種です。粒が大きく今年の出来も上々だということでした。

島根県大田市温泉津町西田 無形の民俗文化財「ヨズクハデ」

ヨズクハデの組み立ての様子

結構高いところまで登っての作業の為、毎年細心の注意を払いながら皆さんで協力して行っています。
中心を組んでから立て、さらに調整する際に梯子をかけます。バランスが崩れないように気を付けながら作業をしていらっしゃいました。

島根県大田市温泉津町西田 無形の民俗文化財「ヨズクハデ」

柱の木を運んできます

島根県大田市温泉津町西田 無形の民俗文化財「ヨズクハデ」

島根県大田市温泉津町西田 無形の民俗文化財「ヨズクハデ」

藤のつるで木と木を固定します。

島根県大田市温泉津町西田 無形の民俗文化財「ヨズクハデ」

生の藤のつるが乾くとぎゅっと締まるため頑丈に固定されます!!

島根県大田市温泉津町西田 無形の民俗文化財「ヨズクハデ」

こちらが藤のつる

島根県大田市温泉津町西田 無形の民俗文化財「ヨズクハデ」

島根県大田市温泉津町西田 無形の民俗文化財「ヨズクハデ」

木を立てていきます

島根県大田市温泉津町西田 無形の民俗文化財「ヨズクハデ」

上の方を固定していきます

島根県大田市温泉津町西田 無形の民俗文化財「ヨズクハデ」

稲を干していきます

島根県大田市温泉津町西田 無形の民俗文化財「ヨズクハデ」

島根県大田市温泉津町西田 無形の民俗文化財「ヨズクハデ」

高いところからの作業は細心の注意を払って作業します

島根県大田市温泉津町西田 無形の民俗文化財「ヨズクハデ」

朝から始まった作業は、猛暑の中水分補給等の休憩を取りながらお昼くらいにはほぼ完成。
お昼は発掘スタッフも三瓶そばと地元産の新米のおむすびをいただきました。
そこでも年代関係なく交流があって、こういう関係も継承につながっていくのだなと感じました。

島根県大田市温泉津町西田 無形の民俗文化財「ヨズクハデ」

天日干しで美味しいお米になりますように😊

ヨズクハデはいつ頃からいつ頃まで見られる?

島根県大田市温泉津町西田 無形の民俗文化財「ヨズクハデ」

稲刈りが始まる9月初めから中旬までみられます。

解体するときはどのようにするのか

稲を外してから手順の反対に解体して、柱となるヒノキの木は屋根付きの収納場所に収め、来年もまた使用します。

島根県大田市温泉津町西田 無形の民俗文化財「ヨズクハデ」

解体した後は屋根付きの場所へ保管し、また来年も使用する

 

継承していくための取組みについて

伝統農法を後世に残すため、「ヨズクハデ保存会」を設立し伝承保存に努めています。
また地元の小学校のふるさと教育の一環として、地元農家が先生となり地域の歴史、文化を後世に伝える活動を行っています。
ヨズクハデ作りもその一つで体験学習を行うことにより、子どもたちに「ふるさと」の良さを伝えています。

酒仙蔵人・五郎之会について

島根県大田市温泉津町西田 無形の民俗文化財「ヨズクハデ」酒仙蔵人・五郎之会

酒仙蔵人・五郎之会とは、地酒造りを地域振興に活かしていこうと、平成10年2月~毎年、旧温泉津町で始まった、会員制の日本酒を楽しむ会です。
お酒の原料となる稲作りを春の田植え~秋の稲刈りまで、そして酒造りを体験していただいています。
会員数は100名以上!!主に山陽(広島)方面、遠くは関東周辺からの参加があります。

町内の20~50代の旅館店主、造り酒屋、農業、自営業、会社員、公務員など異業種たちが世話人となって活動を続けています。

西田ヨズクハデ保存会について

島根県大田市温泉津町西田地区
無形民俗文化財
選定年月日:2009年(平成21年)3月11日

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