8つのモニターに映るのは、再生砕石処理場。
様々な角度、距離感でリアルに現場を感じながら重機を遠隔操作します。
陽射しがジリジリと肌を照らす夏本番前、涼しい事務所で遠隔操作するのは事務職の女性です。建設現場の新しい働き方として生み出されたシステムと、それを活用してICTを推進する株式会社 山﨑組をご紹介します。
実稼働では国内初の重機遠隔操作システムを導入
会社の玄関から2階に案内され、奥の会議室のスペースに通されて驚きました。
エアコンの効いた室内の一角に、最新鋭のモニターと重機のあのハンドルを備えたコクピットが現れたのです。これが重機の遠隔操作システム「K-DIVE®」です。
実際の現場で業務として、このシステムが稼働しているのは国内で山﨑組だけとのこと。
作業は解体現場から運ばれてきたコンクリートガラなどをクラッシャーに投入するというもの。操作するのは入社11年目の事務職 井口珠希さんです。
8つのモニターとスピーカー、振動を感じるコックピット。
屋内で操作するので熱中症や埃も気にせずOK!もちろんヘルメットも不要です。
足元も安全靴ではなくキティちゃんのサンダルでした。
(足でする作業はないとのこと)
取材班も特別にコックピットの座席に座らせてもらいました。
手元のレバーも実際の機械と同じだそうですが、驚いたのは座席から伝わる振動!
画面の映像や音だけでなく作業に必要な情報はしっかり伝わることを体験させて頂きました。
ゆくゆくは、災害時にも対応できればということです。
現場経験がなくても訓練と試験を受けて操作可能
明るくて元気な笑顔が素敵な井口さんは事務職として入社。
昨年まで現場の仕事はしたことがなかったそうですが、もともとダンプや建設機械が好きだったので、「K-DIVE®」導入の話を聞いてやってみたいと立候補されました。
そして、実際に乗るための免許を取得されました。
井口さんは現場での実務経験はほとんど無いため、最初は距離や高さなどの感覚をつかむのが難しかったそう。
そこで現場の社員さんや、ベテランのオペレーターさんが練習用の環境を整えてくれたおかげで2~3週間で操作ができるようになったとの事です。
ケガをして現場に出掛けられない社員さんが練習に付き添ってくれたそうですよ。そういった方の働き方にも活かせそうとお話してくださいました。
働きやすい環境
井口さんは現在3人の子供のお母さんでもありますが、ここには子育てのしやすい環境が揃っていると言います。
社内には、仕事をしながら保育園に迎えに行った子どもを見守ることもできるスペースがありました。また、時間調整やリモートでの作業などがしやすい体制が整っているそうです。
社長にも直接相談することもあると聞いて驚きました。
家に帰っても座る暇もないほど家事育児に忙しいので、かえって仕事に来ているほうが落ち着くと話すほどに、ここでの仕事は快適でやりがいがあるのでしょう。
リモートも可能で女性の働きやすい環境が整っていることについては、新聞社も取材に来ていたほど。
なんでも社長に相談するという井口さん。
分析室の社員さんも社長は、新しいことにも挑戦するし、社員の声も大切にしてくれる~となんだか嬉しそう。
社長のことを笑顔で語れる会社は素敵だなと思いました。
転職者やUターンで入社した社員さんも多く、帰ってきても大田にはこういう会社、働く場所があって地元に貢献したいと入社する人がいると話してくれました。
現在建設現場では女性の活躍も多くなってきました。
遠隔操作システムはその中でも斬新なアプローチですね。山﨑組では現場で活躍する女性も、もちろんいらっしゃるそうです。
島根県が発行する『建設産業イメージアップカレンダー2024』には、井口さんも登場しています。
100周年を迎えた山﨑組の挑戦に今後も期待ですね!
ICTとは
ICTとは? ICTは「Information and Communication Technology(情報通信技術)」の略で、情報処理および通信技術の総称を指します。
また、「調査・設計・施工・維持管理・修繕の一連の建設生産システムにおいて、効率化・高度化による生産性向上に寄与する情報通信技術」を「建設ICT」といいます。
株式会社 山﨑組について
株式会社 山﨑組
事務所
住所:島根県大田市鳥井町鳥越413-14
環境事業部 産業廃棄物中間処理場(再資源化施設)
住所:島根県大田市鳥井町鳥越413-14外
TEL:0854-82-8253